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2026/04/10 15:49:11
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AIの性能と実運用の齟齬を埋めるメモリが莫大に必要

Coding Agentが浸透して随分経ったが、新規実装はそこそこマシなものの既存プロジェクトの分析等は 全然使い物にならず四苦八苦している。 それもそのはずで、既存実装の分析には何故その実装を決断したかの合意形成過程の調査が欠かせない。 しかしそういったメタ知識はコミットログやチケットのコメント、ナレッジを集約したwikiなどに 散逸している事が多く、必要に応じたドメイン知識への最適なアクセスが必要だ。
AIのcontextにドメイン知識を注入すれば文脈推定精度が上がり、問題解決能力に寄与するかと思っていたのだが、 現状のAIは悲しいほどcontextが貧弱なんだよね。個人プロダクトの開発資料すらまともに入り切らない。 最初期の物量揃える場面とか、個人学習とか、PoCとかでは便利なんだけど、プロジェクト中後期あたりからAIの出番が無くなっていくなぁ。 大規模プロジェクトで積み上がった技術負債の利息をAIに返済させるのはまだまだ先の技術になりそうだ。 ここが一番解決すべき問題の中核で、AIがコードを生成できる事なんて割とどうでも良く本質でもないのに…
それでも指示を与えれば、尤度が高いコード、テスト、CI、デプロイは出せるようになってきた。 尖った専門性を必要としない分野であれば、人力とも遜色のない働きになってると思う。 なので少なくとも下請けやSES等の派遣業に業務を委託するコストは浮かせられる。恐らく現在進行系で AIによる派遣業の淘汰は起こっているんじゃないだろうか。実際うちの会社でも内製化に伴う委託や準委任の契約終了は増えた。 2026年におけるAIによるエンジニアの失業危機は、SESの死という形で表出してくると予想している。
最近の動向を見ているとそんな感じで、ぬるっとスキルセットの移行が起きてはいるが、 AI驚き屋が思ってるほど「万能で誰でも恩恵を即座に享受できるような技術革命」ではない、というのが現状だ。 むしろAIを使い倒すのにcsの背景知識を総動員する必要があり、却ってエンジニアと非エンジニア間での 問題解決能力の格差が成果物のコミットメントという形で浮き彫りになっている。
にもかかわらず、AIがあればエンジニアは要らないという意見をしばしば見かけるので苦笑してしまう。 きっと彼等は初めて手にしたAIで自由にタスクの並列化自動化ができる事に感動し、万能感や宗教性すら見出したのだろう。 これはよくある誇大妄想の話であり、習熟によって漸近的に収束し、やがて無知の知に至る [1] 。 恥ずかしい話ではないが、注意は必要だ。
私も初めてプログラミングで定形作業を自動化出来たときは感動し、手作業排除論に取り憑かれた時期があった。 過渡期が思想を丸く磨いてくれるだろう。

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雑記, AI, coding agent
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